ご挨拶

 2014年3月、原田トレーディング株式会社はおかげさまで創業100周年を迎えることができました。
これもひとえに、皆様の温かいご支援の賜と心より感謝申し上げます。

 大正3年3月、松江市京店に原田金物店として創業以来、金物商として、そして建設資材商社として一世紀の間歩んで参りました。
 これからも皆様から信頼され、必要とされる企業を目指し、「良い品を、誠意と熱意と、人の和で」、強い気持ちを持って取り組んで参りますので、今後ともより一層のご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

創業者の精神をつぐ

 大正3年、松江市京店、原田時計店(現在・創美堂)より分家して、未知の世界へ踏み出した先代の心境はどうであったろうか。 勿論、金物商の経験はなく、資本もほとんどなく、文字通りの裸一貫であったと、よく聞かされたものだ。
 釘を入れる袋はりを毎夜遅くまで、ハトロン紙を切り、糊で貼って準備したり、商品の配達は、大八車を自ら引っ張り、橋の坂道を汗を流して得意先へ届けたという。一切れの縄も大切にして生かして使い、身を粉にして働いた創業者の労苦が、今日の原田トレーディングの基盤となり、血となり肉となっていることを、我々は決して忘れてはならない。
 個人的な欲望を犠牲にして、一途に商売に徹した明治人気質の見本を先代の姿に見ることができる。

 今、創業100年になんなんとする我が社の歩みを顧みると、 末次本町81番地の地に開店した時。 13年後、同町11番地に移転した時。 戦争時代から、敗戦前後にかけて、商売のできなくなった時。 自動車による交通事情の変転に伴って、現在の松江卸団地に新築移転した時。と、幾多の辛苦の節目をくぐり抜けてきている。
 その間、先代は順調に社運の進展をはかり、又、島根県金物商業協同組合の理事長として、県下の金物業界のお世話役をつとめた。
 昭和44年、社長の座を譲って会長に就任の後も、毎日会社に出勤した。 晩年に至っても健康のためつとめて歩き、周囲の人ともよく協調を保ちつつ、ただただ事業の堅実な発展を念じ、若い人への激励を惜しまなかった。
 思うに、先代の心を貫くものは、 「信用と、勤倹と、ファイト」更に「和」の精神にあったのではないか。
 死の病床で書き残した「清風和楽」の四字は、どこにあのような力があったのか、不思議な気概と神韻のただよう筆跡で、見る者の心を打たずには措かない。
 今日の、原田トレーディングの基盤は、実に、この精神により培われたものである。 我々としては、この創業者の精神を現代に生かすことが、原田トレーディングの真の発展につながる所以であると信じて疑わないものである。

 ここに、先代の残した創業精神を記し、これを受け継いでいくことを、全社員とともに誓うものである。

平成26年3月